強いAIの実現方法 ~実践的な作り方~

強いAIの実践的な作り方を検討しています。メイン記事に主張をまとめています。人工知能関係の書評もあり。なお、今後、任意団体として活動してみたいと考えており、手伝ってみたいという方は是非ご連絡下さい。詳しくは、メイン記事の7を参照下さい。

「ロケットを発明したのは人類ではない」

 全く更新できない間に、ChatGPIがブームとなり、また一歩人間の知能を実現する人工知能に近づいたような状況だが、それらしい内容を生成するのと、人間の知能を実現するのとではまた違うとの意見もある。ただ、今までと次元の違う自然さであり、チューリングテストの合格も近いのではと思わせる威力があるため、大きな目では、汎用人工知能に近づいたのは間違いないであろう。

 今回、「全脳アーキテクチャシンポジウム」が8/1に開催されるとの案内を読んで、久々に考えを巡らせたところ、記事にすべき内容がまとまったので、ほぼ2年ぶりに更新をした。

 全脳アーキテクチャは、脳を工学的に再現することで人間の知能を実現しようという試みと聞いている。しかし、私の意見では、脳は人間の知能の一部を担っているだけで、脳だけ再現しても目的は達せられないであろう。

 ホモ・サピエンスは、20万年ほど前から存在している。しかし、人類の歴史上、文明が現れたのは長くても4000年前ほどである。それ以前、19万6千年の間、生物学的には現代の人間と同じような脳を持ちながら、文明もなく過ごしてきた。

 おかしいのではないか。脳を工学的に再現しても、19万年は文明を作れず、動物とあまり変わらないエージェントにしかならないのではないか。

 しかし、現に人類はロケットを発明している。では、どのように発明がなされたのか?

 答えは、データを利用したからである。文字、図面、方程式など、過去に生み出された莫大なデータを理解し、改善をしてその結果をデータとして更新することで、ロケットの発明に近づき、そして実現するに至った。すなわち、人間のような知能を実現する→ロケットを発明するような知能を実現する、ということであれば、実際にロケットを作ったのは実は「データ」であると思うわけである。少なくとも、「データ」がなければロケットは発明できなかった。

 もちろん、データだけあってもロケットは発明できない。脳に求められるのは、データを理解するだけの大容量と、データを使って何かをやろうとする欲望である。私が新たに得たイメージでは、人類に知能があるのではなく、あるのは、データと、そのデータを使って満足を得ようとする欲望を持ったエージェントの群れである

 弱いAIというのは、個々のケースごとに欲望が見出したデータの使い方を再現しているのであり、その延長では強いAIは実現できない。強いAIを実現するには、データの使い方を生み出す「欲望」の仕組みを実現する必要があると思う。昔から言われている、高度な処理は人工知能で再現できるが、子供でもできることが人工知能で再現できないという点は、子供であればあるほど高度原理に欲望の占める割合が大きいからかもしれない。

 その意味で、「Reward is enough(報酬があれば良い)」というのは正しい。報酬を求めるのが欲望であるからである。
 また、ブルックスに代表される身体性の考え方で「人工知能には『環境と身体と脳』の相互作用が必要」というのも、環境がデータを含むのであれば広い意味で正しい。身体はデータと脳のインタフェースである。「複雑な環境であれば複雑なふるまいをする」というのも正しい。

 人類が手にしたデータの在り方も、洞窟の壁画、文字、活版印刷、デジタルデータ、インターネット+クラウドというように大きく、加速度的に進歩してきた。データの在り方が高度、大規模化することは、人類全体としての知能の発達を意味しているのではないか。

 
 今回整理できた、データを使って欲望により行動するエージェントを、実際にコーディングしていく方法(誰かに出資してもらうとかクラファンとか人を雇うとか)を考えていこう。興味ある方は是非アプローチをお願いしたいです。