今までの検討をまとめると以下のようになる。
- 外界(世界)-身体を模擬するソフトウェアを、辞書レベルで差異が分かるような状態で用意する。
- AIを身体へ搭載したソフトウェアエージェントを複数用意し、外界ソフトウェア内で自由に動き回らせ、知能が発現するようAIソフトウェアをチューニングしていく。
AIに必要な能力は分からないが、いろいろ試すことが出来る。ここで試しまくることで、何らかのブレークスルーが見つかり、強いAIへの扉が開かれることが期待できる。
従来の研究からの新規性としては、身体性アプローチを取りつつ、外界-身体もソフトウェアで用意すれば良い、という点があげられる。
なお、AIに恐らく必要であろうと思われる機能を列記しておく。
- 欲求
- 感覚(センサ処理結果の解釈。甘いとか痛いとか)
- 認知機能(言語能力と一体かもしれない。椅子を見て、椅子だと発話する等)
- RNNを含む大規模深層学習
- 言語能力…発話能力、聴力と深層学習だけで身につくかもしれない
- ミラーニューロン
- 感情
あえて、クオリアとは書いていない。
他のアプローチとの比較を示す。
この比較表から、問題は、外界や身体を再現する模擬ソフトウェアをどこまで実世界や人間に近づければ良いのかという点にあることが分かる。提案手法の主張は、辞書レベルで差異を表現すれば良く、それは有限の実践可能な範囲であろう、ということである。また、身体性アプローチの問題は、ロボットが身体として貧弱であること、実験に苦労するため実験性が悪い、というところにある。