強いAIの実現方法 ~実用化に向けた実践的な作り方~

強いAIの実践的な作り方を検討しています。メイン記事に主張をまとめています。人工知能関係の書評もあり。なお、今後、任意団体として活動してみたいと考えており、手伝ってみたいという方は是非ご連絡下さい。詳しくは、メイン記事の7を参照下さい。

4 ソシュールの記号論による、AIが意味を取り扱う実践的な方法

 前項において、意味を取り扱うには、外界-身体-脳のシステムが必要であることを示した。意味を取り扱うことは、強いAI実現のブレークスルーとなりうるものと考える。
本項では、ソシュール記号論を元に、実践的に外界などを表現する方法を示す。

結論:

意味は差異の体系であり、外界-身体は、差異の表現ができれば良く、従来の身体性アプローチのようにロボットで身体を作る必要は無い。
代わりに必要なのは、外界-身体ソフトウェアであり、かつ、実世界の詳細なシミュレーションではなく、辞書レベルの精緻さがあれば良い。

 

 「ソシュールの思想」1981岩波書店によれば、意味とは差異である、とソシュールは主張している。ビールであれば、世界の他のあらゆるものとは、炭酸のアルコール飲料で色が黄色、麦で出来ている等の違いがビールの意味である。味の違いが分かれば、キリン一番搾りとかスーパードライ等の違いが出てくる。


 この主張から、以下のことが導かれる。
 すなわち、身体性アプローチにおいてロボットを使って実世界で動かしていたが、意味を扱うためであれば、必要なのは実世界そのものではない。外界は身体を通し差異を認識出来れば良いため、差異さえ表現できれば、外界と身体はソフトウェアで構築しても良い。

 また、ソシュールは、「人は名前を知っているものしか認識でない」と言っている。知らないものを見た時、これ何?と聞いて、名前を聞いて満足するのは、まさしくこの原理であろう。
 ここから、前段で構築しようとした外界-身体ソフトウェアにおいて、辞書レベルの内容を表現できれば、AIが人間と同じように意味を扱うのに十分であることが分かる。辞書の語彙は数万から10数万個であり、これは有限の努力で実現できるであろう。

 この、有限の努力で外界ー身体ソフトウェアが実現できるというところが、筆者の主張する強いAIの実現方法が実践的であるゆえんである。

※文章で表現される事象は、組み合わせになってしまい、有限と言い難い可能性はある

 なお、意味は差異の体系であるということから、外界は正しくは世界としなくてはならない。意味を扱うシステムとは、世界-身体-脳(AI)の三位一体のシステムである。

 また、話がそれるが、ソシュールの二番目の主張は、記号こそが概念を作るということである。すなわち、記号接地問題は無い、ということを言っていると思われる。ビールという記号を知ることで、人の中にビールという概念が出来るのである。

より分かりやすい結論:
意味をAIが取り扱うには、外界ー身体ソフトウェアを、辞書レベルの精緻さで構築すれば良く、これは有限の努力で実現できる=実践的であろう。