強いAIの実現方法 ~実践的な作り方~

強いAIの実践的な作り方を検討しています。メイン記事に主張をまとめています。人工知能関係の書評もあり。なお、今後、任意団体として活動してみたいと考えており、手伝ってみたいという方は是非ご連絡下さい。詳しくは、メイン記事の7を参照下さい。

「強いAI・弱いAI」(1) 人工知能関連書評

 「強いAI・弱いAI」 鳥海不二夫著 2017年 丸善出版

 本ブログのテーマである、強いAIについて正面から日本の最新状況を語っている。9人の日本を代表する専門家へのインタビューであり、1回で全部の感想は書き切れないので、1回づつにしてみた。

第1回:チューリングの手のひらの上で 松原仁(2014-2015 人工知能学会会長)

 別のインタビュー記事を拝見したことがあるが、「強いAI」否定派というか、すぐには出来ないだろうというお考えであった。本書でも、自我をAIに持たせられるかは分からないと述べている。今はAI第3次ブームであり、次の第4次ブームの時ぐらいは出来るかもとも書かれている。第2次ブームの時に強いAIについて色々議論したけど、またやっているね~とか。
 マルチタスクをこなせると意識が芽生えるのかもとか、アルファ碁は強いAIという解釈があるかもとか。対戦相手が大局観を感じたためである。少なくとも、アルファ碁が直観力を持ったとは言えるとのこと。

 あと印象に残ったのは、ディープラーニングはすごいけどマシンパワーはすごいんだよね、というところ。本書に出てくる方は、今のAIブームはマシンパワーのおかげ、ということを書く人が多い気がした。

第2回:次のブレークスルーのために 山田誠二(2017年 人工知能学会会長)

 第2次AIブームの際に、ICOTに関わられたとのこと。「第5世代コンピュータ」のことであろう。
 この方も、強いAIは否定派である。30年は無理と断言されている。ディープラーニングではもちろん無理であるし(賛成です)、数学的な天才によるブレークスルーが必要だと。

 ビックデータの量とコンピュータ性能の向上がすごいとか、ディープラーニングは名前の付け方が上手いとか書かれていて、第1回と同じようなことを書かれているという印象。

 ディープラーニングの生みの親であるヒントン氏についての評価が面白かった。30年前にボルツマンマシンをやっていたヒントンがまだ研究者として現役だったのかと、日本人は研究に淡白でいけない、30年研究一筋に打ち込まないといけないと。

 日本においては、教授業務や学会業務等が多く研究に打ち込みにくいということなのかもしれない。これは、思っている以上に深刻な結果を招いていると思う。